ss kariyama
ワイヤーカットで発生する段差加工のスジ問題 その1
更新日:2020年9月30日

ワイヤーカットで段差の大きい面の加工を行うと、高さの変わる境界線でスジが発生してしまいます。
ワイヤー放電加工機によっては段差を感知し、制御する機能が搭載されています。このような場合、制御をONにしているおかげもあってか
仕上げ後では数μの面粗を保てていますが、荒加工のみで良い場合
見た目が気になってしまいます。
考察
考えられる原因は
1.厚みの変わる境界線でサーボ送りの速度が大きく変わるため、放電ギャップが変化する。
2.噴流のかかり方が変わってしまい、ワイヤー線が振動する。
検証
今回は加工する進行方向に対して変化があるのか検証してみた。
材質:S50C
加工条件 : ワーク厚60mm設定
検証1 : 1stカットにて高いほうから低いほうへと加工指示してみた。
60mm厚の箇所では加工条件の目安である、1.9mm/minを維持していましたが、境界線を境に速度が増加し、0.01mm取り代が減っていた。

検証2 : 1stカットにて低いほうから高いほうへと加工指示してみた。
20mm厚の箇所では加工条件の目安である、4.8mm/minをよりも早く、境界線を境に速度が低下し、0.01mm取り代が増えていた。

結果
どちらからの加工方向であっても
ワーク厚の薄いところでは加工速度が上昇したため、放電ギャップが小さくなり取り代が0.01mm少なくなっていました。
ワーク厚の厚いところでは加工速度が上昇したため、放電ギャップが大きくなり取り代が0.01mm多くなっていました。
境目のスジは手触りでもほぼ違和感がないですが肉眼でもスジは見える状態です。
今後の試作予定
1.境目でそれぞれの加工条件を再設定する。
2.境目付近で上側の噴流のみを抑えてみる。
なにか良い改善方法があれば教えてください。
#ワイヤーカット #ワイヤー放電加工機 #ワイヤーカット歴5年